遺産相続の流れと費用|相続人や遺産の調査、遺産分割協議などの手続や書類取得の費用など/湘南なぎさ合同事務所

湘南なぎさ合同事務所(茅ヶ崎市、藤沢市、平塚市、鎌倉市)|遺産相続の流れと費用|相続人や遺産の調査、遺産分割協議などの手続や書類取得の費用など

  1. 湘南なぎさ合同事務所 >
  2. 相続に関する記事一覧 >
  3. 遺産相続の流れと費用|相続人や遺産の調査、遺産分割協議などの手続や書類取得の費用など

遺産相続の流れと費用|相続人や遺産の調査、遺産分割協議などの手続や書類取得の費用など

遺産相続に伴い多くの手続が発生します。ここで基本的な手続内容を手順に沿って紹介していきますので、参考にしていただければと思います。
また、その手続や遺産の取得に際して費用が発生することもあります。「遺産相続に伴いどれほどの金銭的負担が発生するのか」という点にも言及していきます。

遺産相続の流れ

遺産分割協議の結果または遺言書の内容に従って、遺産相続は起こります。

遺産分割協議をするためには遺産の内容を調べる必要がありますし、協議の参加者となる相続人も調査しないといけません。
遺言書が作成されている場合、すべての財産の行方を相続人の協議で決められるわけではありませんので、協議に先立って遺言書の有無の確認もしておく必要があります。

遺産の内容を調べた結果、積極財産より消極財産の方が多いことが明らかになれば、相続放棄も検討することになるでしょう。

このように、遺産相続をするためには、前もって進めておかないといけない手続等がたくさんあります。以下で、遺産相続に関わる各種手続をまとめます。

死亡届の提出

被相続人に関する死亡届を提出します。遺産相続に直接関与する手続ではありませんが、市区町村に対して、亡くなったことの報告を行う必要があります。

葬儀業者が代わりに届出をしてくれることもありますが、そうでない場合は、死亡の事実を知ってから7日以内に、次の市区町村役場に死亡届を提出する必要があります。

死亡届の提出先となる市区町村役場

  • 被相続人の最後の住所地
  • 被相続人の本籍地
  • 被相続人が亡くなった場所
  • 届出人の住所地

遺言書の確認

遺産相続は、遺言書の影響を受けます。遺言内容次第では期待していた財産の取得ができなくなることもありますし、想定より大きな財産を受け取ることも起こり得ます。
遺言書により、相続人以外が財産を受け取ることもあります。

法令の規定に従い適式に作成された遺言書は法的拘束力を持ち、その内容に反した遺産分割をするには相続人等全員による同意が必要です。

また、遺言書に被相続人の財産内容が記載されていることもあります。遺産調査に役立つ資料も添えられているかもしれませんし、まずは「遺言書が作成されているかもしれない」と疑い、被相続人の自宅を捜索することから始めましょう。

自宅に保管しているケースもあれば、弁護士などの専門家に預けているケースもありますし、銀行の金庫で保管してあるケースもあります。
公正証書遺言として作成すると原本は公証役場に保管されますので、公証役場に連絡してその有無を確認することも大事です。

遺言者1人で作成できる自筆証書遺言でも、法務局の保管制度を利用することができます。そのため法務局にも問い合わせてみましょう。

法定相続人の確定

遺産相続の当事者となる人物を、全員明らかにしておく必要があります。

遺産分割協議は相続人の全員が関与しないと、無効となります。

そこで被相続人の戸籍謄本等を集める作業にかかりましょう。
「死亡」が記載された戸籍謄本等をまずは取得し、そこから遡って被相続人の出生に至るまでの一連の戸籍謄本等を集めていきます。

そして戸籍情報を読み取り、被相続人の配偶者や子ども(代襲相続人となる孫)、両親、兄弟姉妹の存在などを明らかにしていきます。

遺産の調査

遺産相続の対象となる“遺産”の調査も欠かせません。

調査は、被相続人の自宅を探すところから始まります。
自宅に保管されている現金。取引のあった金融機関等を特定する資料、不動産に関する資料などを探しましょう。

相続財産を構成する遺産は、被相続人が生前有していたほぼすべての財産です。借金などの消極財産も含めて、基本的にはあらゆる財産を相続人は承継することになります。

主な遺産の種類と調査方法
現金・家庭用財産 ・被相続人の自宅で現物を探す
・自動車や貴金属など個別で大きな価値を持つもののほか、衣服や雑貨などの動産なども相続財産に含まれる
預貯金・有価証券 ・取引のあった金融機関の特定がまずは必要
・通帳や郵便物、電子メールなどから手がかりを掴む
・金融機関の特定後、残高証明書の発行請求を行う
・取引明細書も発行してもらうことで、その口座を使った取引についても調べることができる
建物・土地 ・不動産については、税金関係の通知書等から情報が掴める
・役場で名寄帳を取得し、調べることもできる
負債 ・口座の取引履歴情報のチェック、信用情報機関(JICC、CIC、KSC)への照会で取引のあった金融機関を特定できることもある

相続放棄等の検討

遺産の調査が完了すれば、「相続放棄」または「限定承認」をすべきかどうか、検討します。

  • 相続放棄:相続人としての地位を放棄し、一切の権利・義務を捨てるための手続
  • 限定承認:積極財産から消極財産を精算し、残った積極財産に限って相続するための手続

いずれも「相続開始を知ってから3ヶ月以内」に、家庭裁判所で手続を進める必要があります。

相続放棄については個別に行うことができますが、限定承認は相続人の全員で手続を行う必要があります。

なお、3ヶ月以内にいずれの手続も行わない場合、相続を承認したことになります。借金等の債務が多く残っているときは要注意です。

遺産分割協議で取得する財産の決定

遺産分割協議の準備(遺産の調査や相続人の特定)が完了すれば、相続人全員で、「誰がどの財産を取得するのか」といった話し合いを進めていきます。

協議内容は、必ず遺産分割協議書にまとめておきましょう。
協議書の作成は法的義務ではありませんが、遺産相続後のトラブルを避ける上では大切な作業です。司法書士や弁護士、行政書士といった法律の専門家に依頼し、文書を作成してもらうことをおすすめします。

遺産の名義変更

遺産分割協議で取得する財産が定まれば、必要に応じて名義変更の手続を進めていきましょう。

例えば不動産を相続した場合、「所有権移転登記」の申請を行います。
令和6年4月1日から、この相続登記が義務となり、所有権取得を知ってから3年間放置するとペナルティを課されるおそれもあります。司法書士に頼んで確実に登記手続を行いましょう。

預貯金に関しては、銀行口座等を相続人名義に変更することができます。
遺産分割協議書など、自らが取得したことを示して、各金融機関所定の手続方法に従って名義変更を行います。

有価証券についても、上場株式に関しては証券会社に対して遺産分割協議書等を示して名義変更を行います。一方、非上場株式については、株式発行会社に申し出て株主名簿の書き換えを求める必要があります。

自動車を取得する場合、運輸支局にて名義変更の手続を行いましょう。

遺産相続にかかる費用

遺産相続をするためには、いくらかの費用が必要です。
手続に際して戸籍謄本等の取得手数料が発生しますし、遺産の価額が大きいと相続税を納めないといけないこともあります。また、相続のように専門性の高い手続に関しては各分野に精通した専門家を利用するのが一般的なのですが、その際にも依頼料が発生します。

これら遺産相続にかかる費用について、以下でまとめます。

戸籍等の取得費用

戸籍や住民票、印鑑証明書などは、基本的にすべての相続で必要になります。一つひとつの取得費用は大きな額ではありませんが、多数の資料を取得しようとするとそれなりの金額を負担しないといけませんし、手間がかかるという意味でも負担になってきます。

書類の種類 取得費用 説明
戸籍謄本 450円 戸籍謄本は、法定相続人の調査や、自らが相続人であることを示すために取得する書類。相続人全員分の取得が必要になる。
除籍謄本 750円 除籍謄本は、戸籍の中に入っている人物が誰もいなくなった戸籍のこと。
被相続人の「死亡」が記載された戸籍謄本を指して呼ぶこともある。
改製原戸籍謄本 750円 戸籍謄本は法改正等の影響で作り変えられることがある。その作り変えられる以前の戸籍を改製原戸籍と呼ぶ。
戸籍の附票 300円 戸籍の附票は、住民票の移り変わり(住所の異動)を記録したもの。戸籍とともに市区町村役場で保管されている。
住民票の除票 300~400円 住民登録をしている人物につき、転出や死亡により除かれることを除票という。そのため相続においては、被相続人の最後の住所を示すための書類として機能する。
住民票 300~400円 現在の住所を示すための書類。主に相続人が自らの住所を示すために取得する。
印鑑証明書 300円 印鑑証明書は、捺印された印鑑が実印であることを証明するための書類。相続人全員分の取得が必要。

財産別の手続費用

遺産相続をする財産の内容に応じて、名義変更の手続に費用が発生します。

例えば不動産を取得する場合、相続登記の際に登録免許税の納付が必要です。負担額は、土地や建物の所有権に係る移転登記をするとき、「固定資産税評価額の0.4%」です。
自動車を取得するときであれば、名義変更の手数料に500円ほどが必要ですし、車庫証明取得費用に数千円が必要です。

その他財産別に手続内容と手数料等を確認しておきましょう。

取得分に応じた相続税

取得した遺産全体の大きさに応じて、相続税の納付も必要です。

一定額以上の遺産がなければ相続税は発生しませんので、常に必要な費用ではありませんが、遺産額が大きいと数十万円、数百万円の税負担が発生する可能性があります。

相続開始から10ヶ月以内に相続税の計算を行い、申告書の提出と納付を済ませないといけません。

専門家への依頼料金

遺産の調査、遺産の価額についての評価、相続人の調査、遺産分割協議書の作成、相続税の計算など、さまざまな手続が発生します。
手間のかかる作業ですし、法律など相続に関する制度の知識がないと対応が難しいものもあります。そのため多くの場合は専門家に代行してもらったり、アドバイスをもらったりして対応します。

その際、依頼料金が発生します。具体的な金額は依頼先により異なりますが、遺産総額に対応した金額設定をされていることが多いです。
例えば「遺産総額の〇〇%」「遺産総額が〇〇万円~〇〇万円なら、〇〇万円」といった形で定められていることがあります。

専門家を利用することで遺産相続による利益がすべてなくなってしまう、という心配は基本的に必要ありません。トラブルが起こりにくくなるなど、高い費用対効果も期待できますので、まずは費用について聞くことも兼ねて気軽に相談をしてみると良いでしょう。

お気軽にお問合せ・ご相談ください

湘南なぎさ合同事務所が提供する基礎知識と事例

  • 死因贈与契約公正証書死因贈与契約公正証書

    「死因贈与」とは、贈与者の死亡によって効力が生じる贈与のことをいい...

  • 遺言書作成遺言書作成

    遺言には、主に「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」...

  • 鎌倉で家族信託(民事信託)のご相談は当事務所にお任せください鎌倉で家族信託(民...

    民事信託は、商事信託のように金融機関に財産を託すこととは異なり親族...

  • 成年後見人には「親族が望ましい」のか成年後見人には「親...

    つい最近、最高裁判所は、成年後見人には「身近な親族を選任することが...

  • 特別縁故者特別縁故者

    特別縁故者とは、内縁の妻や同居人など血のつながりや婚姻関係、家族関...

  • 茅ヶ崎市の相続に強い司法書士をお探しの方茅ヶ崎市の相続に強...

    相続は誰もが一度は経験するであろう重要な法律問題です。しかしながら...

  • 遺産分割協議公正証書遺産分割協議公正証書

    遺産分割協議書は公正証書として作成しなくても効力を持ちますが、公正...

  • 商事信託と民事信託(家族信託)の違いとは?メリット・デメリットを解説!商事信託と民事信託...

    財産を信託する方法には「商事信託」と「民事信託(家族信託)」があ...

  • 任意後見任意後見

    任意後見制度では、本人に十分な判断能力があるうちに、将来、判断...

遺産相続の流れと費用|相続人や遺産の調査、遺産分割協議などの手続や書類取得の費用など|湘南なぎさ合同事務所(茅ヶ崎市、藤沢市、平塚市、鎌倉市)

ページトップへ