空き家を相続したものの、どう扱えばいいか困ることがあります。維持費もかかり続けますし、管理が不十分だと損害を発生させる可能性もあります。
そこで「空き家を活用できず放置している」「空き家を相続することになりそう」という方に向けて、当記事では具体的な活用方法を5つ取り上げています。空き家の状態や立地、予算に応じて最適な選択肢を見つけていただければと思います。
相続した空き家の現状と課題
相続した空き家の維持管理には年間で数十万円規模の費用がかかるケースもあり、相続した方の多くはまず維持費の負担に頭を悩ませることになるでしょう。
固定資産税や火災保険料などの維持費に加え、建物の老朽化が進んでいるときは修繕費用が発生することもあります。古い物件だと雨漏りや外壁の損傷などへの対処が必要となるケースも少なくありません。
とはいえ空き家を放置するわけにもいきません。不法侵入や放火などの防犯上の問題、台風や地震による建物の倒壊リスク、さらには近隣住民とのトラブルなど、多種多様な問題が起こり得ます。特に注意すべきは、空き家の管理不全により近隣に被害を与えてしまい、所有者が賠償責任を問われる可能性があるという点です。
そこで早期に活用方法を検討した方が良いでしょう。ただし活用方法を見誤ると想定以上のコストが発生したり予期せぬトラブルを招いたりする危険性もあるため、慎重な判断が必要です。
空き家を活用する方法5選
空き家の活用方法は、物件の状態や立地条件、投資可能な予算によっても変わってきますが、比較的多くの方が検討される活用方法として次の5つが挙げられます。
1. 賃貸物件として活用
2. 民泊施設として運営
3. リフォームして売却
4. 更地にして売却
5. セカンドハウスとして活用
この5つの活用方法について、それぞれのメリット・デメリットと具体的な実践方法を解説していきます。
1.賃貸物件として活用
「賃貸物件としての活用」は、空き家活用の選択肢の中でも比較的安定した収入が期待できる方法といえます。
賃貸活用のメリットとしては、「安定した収入を得やすい」「物件の資産価値が維持できる」「将来的な選択肢(売却や自己使用)を残せる」ことなどが挙げられます。
一方、デメリットとしては、「入居者とのトラブル対応」「家賃滞納リスク」「定期的な修繕費用の発生」などが挙げられます。
また、上記メリットを得るには物件の立地条件と改修投資に対する適切な評価も欠かせません。たとえば水回りの改修やクロスの張り替えなどの内装工事が必要となるケースが多く、これらに数十万円以上のコストが発生することもあります。場合によっては耐震補強工事などで100万円以上を要することもあります。
これら初期費用については特に注視する必要があるでしょう。
2.民泊施設として運営
「民泊施設としての活用」も場合によっては検討する価値があります。運営の手間や初期費用は賃貸より大きくなりますが、観光地や都市部などインバウンド需要が見込めるエリアであれば高い収益性が期待できます。
民泊運営のメリットは、高い収益性に加えて「季節や行事に応じた柔軟な料金設定が可能」「長期の借主がつかないエリアでも収益化できる可能性がある」という点にあります。
一方でデメリットとして、「住宅宿泊事業法(民泊新法)等の法令への準拠や届出の必要性」「日常的な清掃やチェックイン対応などの管理業務の煩雑さ」などが挙げられます。
まず営業開始のため、所在地を管轄する都道府県知事等へ民泊の運営を始めることを届け出る必要があります。住宅宿泊事業届出書に必要事項を記入し、添付書類と合わせて提出します。また、消防法に基づく設備設置や定期点検も求められ、これらの措置に数十万円ほどのコストが発生する可能性もあります。さらにWi-Fi環境の整備、家具・備品の購入など民泊向けの設備購入に100万円~程度の予算を確保しておくことも重要です。
※旅館業法に基づく簡易宿所に該当する場合、届出ではなく「許可」が必要なため別の手続きを要する。
3.リフォームして売却
「空き家をリフォームしたうえで売却をする」という方法も検討してみてください。特に駅や商業施設への利便性が良好な立地なら、リフォームによって資産価値を大きく向上させることが期待できます。
ただし、リフォーム費用と売却価格の見極めが重要で、過剰な投資はリスクを高める可能性があります。
なお、売却するときは通常、不動産業者による物件調査と市場価値の査定をまずは実施してもらいます。その後、建築士などの専門家と相談しながら、費用対効果が高いと思われるリフォーム内容を決定します。一般的には、水回りの改修・クロスの張り替え・フローリングの補修など、生活に直結する箇所を中心にリフォームを行うことが効果的とされています。
リフォーム費用は物件の規模や築年数によって大きく異なりますが、一般的な戸建て住宅の場合でも数百万円、より本格的なリフォームになると1,000万円以上かかることもあります。
4.更地にして売却
リフォームのほか、「建物を解体して更地として売却する」というアプローチもあります。
建物の老朽化が進んでいる場合や土地の価値が建物より高い地域で有効な選択肢となるでしょう。
更地にすることで購入検討者の選択肢が広がり、売却までの期間を短縮できる可能性も高くなりますし、建物の維持管理費用の負担を軽減できるというメリットもあります。また、建物付きの場合に比べて査定もしやすく、売却価格の設定も明確になります。
なお、解体費用は建物の構造や規模、立地条件により異なります。一般的な木造2階建て住宅であれば100〜200万円程度が目安といえるでしょう。
5.セカンドハウスとして活用
「セカンドハウスとして自己使用する」という活用方法もあります。
休暇や週末の居住スペースとして活用でき、自然豊かな地域にある場合や定期的に訪れる地域にある場合に魅力的な選択肢となるでしょう。テレワークスペースとしての活用、趣味の活動拠点としての使用なども考えられます。
ただし維持管理のコストや責任が伴うため、経済的な余裕がなければセカンドハウスを持つのは難しいかもしれません。
湘南なぎさ合同事務所(茅ヶ崎市、藤沢市、平塚市、鎌倉市)|相続した空き家の活用方法5選(賃貸や売却、事業利用など)