遺言書の保管方法をわかりやすく解説!法務局で保管するときの手続も紹介/湘南なぎさ合同事務所

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遺言書の保管方法をわかりやすく解説!法務局で保管するときの手続も紹介

遺言書は、作成方法別にいくつかの種類に分けることができます。多くは「公正証書遺言」または「自筆証書遺言」として作成されるのですが、遺言の効果に差が出るわけではありません。ただ、作成した遺言書の紛失や偽造、遺言能力が否定されて無効になってしまう可能性等に差があります。

当記事では紛失や偽造のリスクに関わる「遺言書の保管方法」に着目して解説をしていきます。どのような保管方法があり、それぞれどのような特徴があるのかを紹介します。

公正証書遺言の保管方法

公正証書として作成する遺言は、公証役場で作成し、公証役場で保管されます。そのため遺言者自身が保管場所で悩む必要はなく、逆に、他の場所で原本を保管することは認められません。

公証役場で保管すれば相続開始までに紛失してしまうリスクはほぼ防ぐことができます。第三者により改ざんされるといったリスクに対する心配も不要です。また、作成過程で公証人が関与していますし、形式的な不備が起こりにくく、相続開始後に相続人が検認の手続を行う手間もなくなります。

ただし、相続開始後、相続人に対して「ここに遺言書があります」などと通知がいくわけではありません。そのため家族に対して公証役場に遺言書があることを伝えておくなどの措置を取っておくことも検討しましょう。

自筆証書遺言の保管方法

自筆証書遺言は遺言者1人でも作成できる遺言書です。公的機関の関与を受けずに作成され、保管についても遺言者に任されます。そこでさまざまな保管方法が候補に挙がってきます。どのような方法があるのか、それぞれの特徴なども以下でまとめます。

遺言者の自宅で保管する

自宅で遺言書を作成し、そのまま亡くなるまで自宅に置き続けても問題ありません。この場合、コストがゼロですし、手続の手間もかかりません。

しかし、紛失のリスクが高まります。遺言書を作成してから数年間、十数年間相続が始まらない可能性も十分考えられ、その間ずっと自宅で大事に保管しないといけません。どこかのタイミングで行方が分からなくなったり、他人に見つかって改ざんされてしまったりすることもあります。

自宅で厳重に保管する場合、その場所を信頼できる人に伝えておかなければ存在を誰にも認識されないまま遺産分割協議を進められるおそれもあります。

銀行で保管する

銀行の貸金庫に保管する方法もあります。遺言書の他、思い出の品や貴重品など、銀行が認めるものであれば預けることができます。この場合は紛失や改ざんのリスクも下げられます。また、遺言書の存在を他人に隠したまま安全に保管することができるでしょう。

ただし、この場合もやはり誰にも見つからないおそれがあります。
また、コストがかかりますし、預ける際や相続人が貸金庫を開ける際に手間がかかってしまうというデメリットもあります。

遺言信託サービスを提供する信託銀行に保管してもらう方法もあります。信託業務の取り扱い、特に遺言書作成に関するサービスの取り扱いがある銀行であれば、そのまま保管してもらえることがあります。この場合、遺言書の作成から保管、遺言の執行に至るまで一貫したサポートを受けられるというメリットがあります。

その一方で、コストが相当に大きくなるというデメリットがあります。遺産の総額に応じて遺言書の作成や執行にかかる料金が異なるケースが多く、他の方法に比べて経済的な負担は大きくなりやすいです。

信頼できる人に保管してもらう

家族や友人など、信頼できる人に預けて保管してもらうという方法もあります。

銀行に預けるときのように手続を行う必要がありませんし、コストもかかりません。また、遺言書が見つからないまま相続手続が進んでしまうというリスクも避けやすくなります。

しかしながら、紛失や改ざんの問題は残ります。特に預け先が推定相続人である場合は注意が必要です。ご自身の相続に関して利害関係を持つ人物の場合、意図的に滅失したり中身を書き換えたりするリスクが大きくなります。また、そのような行為をしていなかったとしても、他の相続人から疑いをかけられてトラブルに発展するおそれがあります。

相続人間での揉め事を避けるため、司法書士や行政書士などの専門家に保管を依頼することも検討すると良いです。法律のプロですので遺言書の作成についてアドバイスを受けられる上、守秘義務が法令上課せられていますので安全な保管が期待できます。相続について利害関係を持たないため、相続人からの不満も出にくいです。

法務局で保管する

自筆証書遺言の保管の問題を解決するため、近年、「自筆証書遺言保管制度」が創設されました。自筆証書遺言書を法務局で保管してもらうための制度です。2023年の時点で累計5万件ほどの申請が行われており数多くの方が利用を始めています。

同制度を利用すれば低コストで安全に保管してもらうことができ、紛失・改ざんの心配も必要なくなります。預ける際の手続に手間はかかりますが、相続人が検認を行う必要がなくなるなど多くのメリットが得られます。

ただし、公正証書遺言のように遺言内容にまでは関与されません。法的に有効な遺言を確実に行うためには、作成時に専門家へ相談することが推奨されます。

自筆証書遺言保管制度を利用する方法

自筆証書遺言保管制度を利用する方法について、「遺言者が保管の申請を行うケース」「亡くなってから相続人が遺言書を確認するケース」に分けて説明します。

遺言者が法務局で保管申請を行う

遺言者が法務局での保管を求めるとき、まずは「保管申請書」を作成します。

申請書のフォーマットは、法務省のこちらのWebページ(https://www.moj.go.jp/MINJI/06.html)からダウンロードすることができます。必要事項を記入しておきましょう。

次に、手続には予約が必須ですので、遺言書保管所の予約を取ります。予約した期日に来庁し、申請を行います。なお、代理人による申請は認められておらず、遺言者本人が申請を行わなければなりません。

申請時の準備物は次の通りです。

  • 遺言書
  • 保管申請書
  • 住民票の写し(本籍・筆頭者の記載が必要)
  • 顔写真のある身分証明書
  • 手数料(遺言書1通あたり3,900円)

相続人が遺言書情報証明書の交付請求等を行う

最後に相続人等が行う請求についてですが、遺言者が亡くなった後で、次の3つの請求を行うことが可能になります。

①遺言書保管事実証明書の交付の請求
概要 自ら相続人・受遺者・遺言執行者等とする遺言書が法務局に預けられていないかを確認するための請求。
手続ができる人 相続人、受遺者、遺言執行者等およびそれらの人物の親権者や法定代理人
手数料 1通あたり800円
②遺言書情報証明書の交付の請求
概要 相続人等に関係する遺言書の内容の証明書を得るための請求。遺言書の画像情報が印刷される。
原本は返還されないため、この証明書をその後原本代わりに使用することとなる。
手続ができる人 相続人、受遺者、遺言執行者等およびそれらの人物の親権者や法定代理人
手数料 1通あたり1,400円
③遺言書の閲覧の請求
概要 相続人等に関係する遺言書を見るための請求。
手続ができる人 相続人、受遺者、遺言執行者等およびそれらの人物の親権者や法定代理人
手数料 モニターによる閲覧は1回あたり1,400円
原本の閲覧は1回あたり1,700円

相続人等が遺言書の調査を進めており、「もしかしたら法務局に保管されているかも」と考えたときには①の遺言書保管事実証明書の交付請求を行ってみると良いでしょう。

法務局に保管されていることが分かっていれば、③の遺言書の閲覧請求で中身を確認できますし、遺言についての証明を求められる手続を進める場面では②の遺言書情報証明書の交付請求を行うことになるでしょう。

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