未登記建物とは?放置しているとどうなる?登記のルールやリスクを解説/湘南なぎさ合同事務所

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未登記建物とは?放置しているとどうなる?登記のルールやリスクを解説

本来なら建物を新築するとともに表題登記を行うのですが、何らかの事情により登記が行われず、未登記建物として放置されているケースがあります。未登記のまま放置することには多くの問題が伴いますので、ここで未登記のリスクについて確認し、登記手続きを済ませるようにしましょう。

未登記建物とは何か

未登記建物とは、不動産登記法に基づく「表題登記」が行われていない建物のことを指します。

不動産登記には①表題部と②権利部があるところ、表題部には建物の所在地、床面積、構造、種類などの基本情報が記載されます。そのため表題登記がされていないということは、法務局の登記簿に建物の物理的な情報が記載されていない状態を意味します。

不動産登記法では次のとおり表題登記の申請を行うべき義務を所有者に課していますので、未登記は違法状態でもあると認識しておきましょう。

(建物の表題登記の申請)
第四十七条 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。

引用:e-Gov法令検索 不動産登記法
https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123/

未登記建物が発生する原因・背景

未登記建物が発生する原因にもいろいろありますが、多くは登記制度への理解不足に由来すると考えられます。建物を新築したり購入したりした際に、表題登記の義務があることを知らない方も少なくないでしょう。

そこで以下のようなケースで手続きに見落としが生じることがあります。

住宅ローンを利用しなかった

たとえば「住宅ローンを利用せずに新築・購入したケース」だと、登記手続きが見落とされる可能性が割合高くなってしまいます。

銀行などでローンを組むときは抵当権の設定が必須ですので、登記手続きがスルーされる可能性はほぼありません。しかし現金一括で購入するとなれば金融機関の介入がありませんので、登記を促される機会が一つ減るのです。

とはいえ不動産業者などが仲介する一般的な売買で取得する場合は、通常、登記手続きについても案内を受けます。取引の相手方から登記についての話が出ることも考えられますので、認識不足による未登記のリスクはそう高くはならないでしょう。

しかしながら、建物を取得する経緯が個人間取引や親族間売買にある場合は、関係者が制度を理解していなければ誰からも登記を促されず、未登記のまま取引が完了することもあります。

増築・改築を行ったケース

「増築や改築時に手続きを忘れるケース」もあるでしょう。

建物の増築を行った際、増築部分に関する変更登記を忘れ、部分的に未登記のまま放置されていることもあります。不動産登記法では、建物の床面積などに変更が生じたときも登記を行うべき義務を課していますので、このケースでも登記申請に対応しなくてはなりません。

相続で取得したケース

「相続により建物を承継したが、相続登記が必要であることを知らなかったケース」もあるでしょう。

親や配偶者、子などから建物を承継することもあります。相続時にはほかにも対応しなくてはならない手続きが多数ありますし、建物の登記手続きにまで気が回らずそのまま忘れてしまったということも起こり得ます。

登記費用を負担したくなかったケース

上記の各理由とは異なり、建物に対する登記が必要であることを認識しながら、意図的に登記を行わない場合にも、未登記建物は発生します。

主に「登記費用を節約したいケース」が考えられます。建物の表題登記に登録免許税の負担はかかりませんが、手続きの一環で土地家屋調査士に作業を依頼することが多いため、このときには10万円前後の費用がかかります。

この費用を浮かせたいと考え、未登記のまま放置していることもあるでしょう。

未登記建物のまま放置するリスク

未登記のまま建物を放置しておくことで、次のようにさまざまなリスクが生じます。所有者本人にペナルティが課されるだけでなく、今後の不動産活用、さらには相続人への負担にまで問題が波及してしまいます。

未登記建物の問題点
10万円以下の過料 建物の表題部の登記は法的義務であり、この義務を履行しなかった場合には「10万円以下の過料」を科すと法定されている。
所有権の主張が難しくなる 未登記であることで、第三者に対して所有権を主張するのが難しくなる。
登記は対抗要件として重要な役割を担っており、登記がなければ真の所有者であっても、善意の第三者に対して権利を証明できず所有権が奪われる危険性もある。
担保として設定できない 未登記のままでは、住宅ローンや事業融資を希望するときの担保物件として提供できない。
未登記建物のままだと金融機関は受け入れてくれず、融資額が大幅に減額されたり融資そのものが断られたりするリスクが上がる。
売買取引が困難になる 未登記建物として売却するのは難易度が高い。買い手からするとリスクある取引であり「怪しい物件」に見えてしまう。
現金一括での購入が可能な買主、親族など身近な人物への売却に限定されてしまう。
相続手続きが複雑になる 未登記建物は相続手続きを複雑化する。通常の相続登記と異なり、まず表題登記を行ってから所有権保存登記を行うなど、複数の段階を踏む必要がある。
遺産分割協議書への記載も困難になる。登記情報がないため、建物を特定するための情報が限られ、相続人らが大きな負担を負ってしまう。

建物の維持管理に関する責任が曖昧になりやすいですし、所有者以外にまで問題を広げないよう、早めに表題登記から着手しましょう。

なお、建物の位置や構造、床面積などの物理的な情報に関する登記は、土地家屋調査士が専門領域としています。現地調査、測量、図面作成など、表題登記で必要な書類の作成などにも対応してくれます。

また、表題登記に続いて建物の所有権に関する登記も必要になります。権利関係についての登記は司法書士が専門領域としており、「所有権保存登記」や「所有権移転登記」などについては司法書士に相談すると良いでしょう。

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