空き家を相続したときの税金対策|特例や控除制度の活用や事前対策についても解説/湘南なぎさ合同事務所

湘南なぎさ合同事務所(茅ヶ崎市、藤沢市、平塚市、鎌倉市)|空き家を相続したときの税金対策|特例や控除制度の活用や事前対策についても解説

  1. 湘南なぎさ合同事務所 >
  2. 相続に関する記事一覧 >
  3. 空き家を相続したときの税金対策|特例や控除制度の活用や事前対策についても解説

空き家を相続したときの税金対策|特例や控除制度の活用や事前対策についても解説

空き家の相続は多くの方にとって悩ましい問題です。相続税や固定資産税、売却時の譲渡所得など、さまざまなシーンで税金が関係してくるため、適切な対策を講じておかないと思わぬ大きな負担が発生してしまいます。 そこで当記事では空き家相続にまつわる税金について言及し、どのようにすればその負担を軽減できるのか、そのヒントとなる情報を整理しました。

空き家にかかる税金について

空き家を相続・所有することで、さまざまな税金が発生します。

主な税金としては、「相続税」と「固定資産税」、そして売却時の「譲渡所得税」が挙げられます。

相続税 相続税は、被相続人から相続人が財産を相続した際にかかる税金。空き家も相続財産の一部として評価され、相続税の課税対象となる。
空き家の評価額は、一般的に土地と建物を合わせた価格となるが、建物の老朽化や立地条件によって評価額が変動する。
固定資産税 固定資産税は、毎年1月1日時点で不動産を所有している人に課される税金。空き家であっても、所有している限り固定資産税を納める必要がある。
市町村によっては都市計画税も併せて課税される場合がある。
譲渡所得税 空き家を売却した際には、その売却益に対して所得税が課される。
売却益は、一般に、売却価格から当該物件の取得費と譲渡にかかった費用を控除して算出される。

このように、不動産についてはたとえそれが空き家であったとしても所有しているだけで税金がかかり続けますし、取得時や譲渡時にも税金が発生してくるのです。

空き家を相続したときの税金対策

空き家を相続した際、適切な税金対策を行うことで、相続税や将来の税負担を軽減することができます。ここでは、主な税金対策について説明します。

小規模宅地等の特例の活用

「小規模宅地等の特例」は、相続した土地の評価額を大きく減額することのできる制度です。

《 特例の適用条件と減額率の概要 》

  • 居住用宅地(特定居住用宅地等)の場合
    適用条件:被相続人の居住の用に供していた宅地であって、相続人が相続後、相続 税申告期限まで所有し、かつ居住することなど。
    減額率:評価額を80%減額(限度面積330㎡まで)。
  • 貸付事業用宅地の場合
    適用条件:被相続人が貸付事業に使用していた宅地であって、相続人が相続後も事業を継続すること。
    減額率:評価額を50%減額(限度面積200㎡まで)。

ただし、被相続人が所有していた時点ですでに空き家であった物件については、この特例の適用ができない可能性もあります。また、被相続人が自宅として使っていた物件であっても、取得する相続人が一緒に住んでいたなど一定の要件を満たさないとこの特例は活用できません。
可能なら生前からこの特例のことを意識して、要件を満たせるように備えておくべきでしょう。

なお、この特例で評価額を下げられるのは土地であり、当該土地上の建物については適用対象とはなりません。

詳細情報・最新情報については国税庁HPをチェックするか、税理士に聞いてみましょう。
参考:国税庁HP「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

相続税における配偶者控除の活用

相続税における配偶者控除は、被相続人の妻や夫が相続をした場合に適用される控除制度のことです。この控除を活用することで、配偶者の相続税負担を大幅に軽減することができます。

《 配偶者控除の概要 》

  • 配偶者が相続した財産のうち、“1億6,000万円”または“法定相続分相当額”のいずれか大きい額まで、相続税が課税されない。
  • 相続した財産が上記の金額を超える場合でも、申告を行うことで相続税が大きく軽減される。

配偶者であれば、少なくとも法定相続分まで非課税にでき、これを超える場合でも取得分の合計が1億6,000万円に達する分までなら非課税にできます。とても節税効果の大きな仕組みですので、評価額が大きな空き家が相続財産に含まれているときは配偶者がこれを取得することも検討すると良いでしょう。

こちらの制度についても国税庁HPをチェック、あるいは税理士に相談すると良いです。
参考:国税庁HP「No.4158 配偶者の税額の軽減」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm

譲渡所得における特別控除の特例の活用

相続した空き家を売却する際に活用できる重要な税金対策として、「被相続人の空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」があります。

この特例は、一定の条件を満たす空き家を売却した際に、最大3,000万円の譲渡所得を控除できるという制度です。

《 適用要件の概要 》

  • 対象物件:昭和56年5月31日以前に建築された一戸建てであって、区分所有登記がされていないもの。
  • 売却期限:相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却をすること。
  • 耐震基準:売却時に現行の耐震基準を満たすか、又は売主が家屋の取り壊しを行う。あ るいは買主が翌年2月15日までに耐震改修または取り壊しを行うこと。
  • 売却価格:1億円以下であること。

また、当該特例については令和5年度の税制改正の影響を受けています。以下がその主なポイントです。

1. 適用期限が2027年中までとなり、4年間延長された。
2. 2024年以降に行われる譲渡については、買主が耐震改修または除却工事を行う場合でも適用可能となった。
3. 相続人が3人以上いるときは、各自の特別控除額が2,000万円にまで減額となる。

この制度については国税庁HPでも説明がなされています。その他気になることは税理士に相談してみましょう。
参考:国税庁HP「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

賃貸用不動産としての運用

空き家を賃貸物件として運用することも、有効な税金対策の1つです。賃貸物件として活用することで、固定資産税を経費計上できて所得税の節税ができ、相続税評価額も低くなる可能性があります。さらに、賃料収入を得ることで空き家の維持費や管理費を補うことも可能です。

《 賃貸運用の利点 》

  • 賃貸物件として使用することで固定資産税を経費計上できて所得税の節税ができる。
  • 賃料収入が得られると、そこから物件の維持管理費をまかなうことができる。
  • 空き家として急速に老朽化してしまうことを防ぎ、不動産の資産価値を維持しやすい。

ただし賃貸運用にはリスクもありますし、必ずしも利益が発生するわけではありません。また、契約や管理業務も伴うため、不動産管理会社との連携や専門家への相談が重要といえます。

相続前にしておきたい対策

相続前にできる対策として、次のような方法が挙げられます。

事前にできる空き家対策
生前贈与 生前贈与によって相続財産そのものを減らし、相続税の負担を軽減する。ただし、贈与税とのバランスを考慮する必要がある。
不動産整理 空き家になりそうな物件は早めに売却や賃貸に出すなどして整理しておく。これにより、相続時の複雑な問題を回避しやすい。
遺言書を使ってあらかじめ取得者を定めておくことも検討すると良い。
専門家との相談 税理士や不動産業者などに相談して、最適なプランを立てることが重要。
特に税制については頻繁に改正が行われているため、専門家の活用が重要。

これらの対策は将来の相続時におけるトラブル防止にもつながります。また、すでに相続が発生している場合でもプロの知見を活用し、今から取れる手段の中から最適なものを選ぶよう努めましょう。

お気軽にお問合せ・ご相談ください

湘南なぎさ合同事務所が提供する基礎知識と事例

空き家を相続したときの税金対策|特例や控除制度の活用や事前対策についても解説|湘南なぎさ合同事務所(茅ヶ崎市、藤沢市、平塚市、鎌倉市)

ページトップへ