不動産売却における司法書士の役割と必要性/湘南なぎさ合同事務所

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不動産売却における司法書士の役割と必要性

不動産取引では司法書士を利用するのが一般的ですが、手続きの代行を依頼するのは法律上の義務というわけではありません。それでも多くのケースで利用されているのにはいくつかの理由があります。なぜ必要となるのか、当記事では司法書士が不動産売却において果たす役割からその必要性について解説をしていきます。

不動産売却において司法書士は何をするのか

不動産売却には多くの手続きが発生するところ、登記申請など法的なリスクが絡む手続きについては司法書士が中心的な役割を担います。具体的な次の3点が挙げられます。

  • 所有権移転登記の手続き
  • 前提登記の手続き
  • 取引の安全確保
司法書士が不動産売却において果たす上記3つの具体的な役割について詳しく見ていきましょう。

所有権移転登記の手続き

不動産売却において留意すべきは、「売買契約を締結し代金を支払っただけでは、第三者に対して所有権を主張できない」という点です。

そこで実務上必須となる重要な手続きが「所有権移転登記」です。不動産の所有者が売主から買主へと変更されたことを法務局の登記簿に公的に記録するものであり、この登記を行うことで買主は第三者に対して自らがその不動産の所有者であることを法的に主張できるようになります。

司法書士は、この所有権移転登記の手続きを専門家として代理します。具体的には、登記申請書の作成から始まり、必要書類(売買契約書や印鑑証明書など)の収集・確認、そして法務局への提出まで、一連の手続きを進めます。 特に重要なのは登記申請書の作成です。正確な記載ができていないと所有権の主張という本来の目的を果たすことができません。

また、書類に不備があると登記が受理されないため事前のチェックも重要です。司法書士が対応することでこのような不備を防ぐことができ、スムーズな登記手続きが実現できるでしょう。

前提登記の手続き

所有権移転登記を行う前に必要となる手続きとして、「前提登記」と呼ばれるものがあります。この前提登記とは、所有権移転登記を申請するためにあらかじめ済ませておくか、所有 権移転登記と同時にするべき登記の総称であり、具体的には以下のようなものが含まれます。

  • 住所や氏名の変更登記
  • ・・・登記簿上の情報が現在と異なる場合に必要。結婚による氏の変更、引越しによる住所変更などがあるときなど。氏名や住所の情報が一致していないと本人確認ができず所有権移転登記が受理されないため、事前に確認して修正する。
  • 抵当権抹消登記
  • ・・・住宅ローンを利用した物件の場合、通常は金融機関によって抵当権が設定されている。所有権移転時に抵当権が残ったままでは買主が新たに住宅ローンを組むことが難しくなるため、この抵当権を抹消する手続きが必要。
司法書士はこれらの前提登記も含め、一連の登記手続きを包括的に管理し、スムーズな所有権移転をサポートします。

取引の安全確保

司法書士は不動産取引の場に立ち会い、重要書類や本人確認を通じて取引の安全性を確保する役割も担います。具体的には、権利証(登記識別情報)や印鑑登録証明書などを精査し、売主が真の権利者であることの確認をします。

また、法的には売主本人の意思確認も重要です。不動産売却が本当に売主本人の意思によるものなのか、強制や詐欺的行為など不正な事情がないかを確認することは、その後のトラブルを防ぐうえで大きな意味を持ちます。

さらに司法書士は、所有権移転登記申請前に最新の登記簿情報をチェックし、差押えや仮差押え等の権利関係変動がないかを見ます。万一問題となる事柄が発見された場合には速やかに依頼主へ報告し、状況に応じた適切な対応策を提案します。

このようにして、司法書士は不動産取引全般について法的リスクを未然に防ぎ、安全で円滑な取引をサポートする役割を担っているのです。

自分で手続きすることは可能か

法律上、不動産売却に伴う所有権移転登記は自分で行うことが可能です。不動産登記法では、登記申請者本人が直接申請することを認めており、司法書士への依頼は義務ではありません。

そして司法書士を利用しないことにも費用面でメリットがあるといえます。

一般的に、司法書士に依頼したときは所有権移転登記に数万円から10万円前後必要となりますし、売主側としては抵当権抹消登記や住所・氏名変更登記を行うならそれぞれに数万円程度の司法書士費用が発生します。これらのコストを削減できるのは大きなメリットといえるでしょう。
※不動産価格に対応して発生する登録免許税、その他書類の取得費用などの実費は自分で手続きをする場合でも発生する。

ただし、自分で手続きを行う場合には以下の課題があります。

  • 手続きが煩雑
  • ・・・登記申請書や添付書類(住民票、印鑑証明書、固定資産税評価証明書など)の準備が必要で、前提登記が絡む場合はさらに複雑化する。
  • 取引の安全性が担保されない
  • ・・・重要書類の確認ややり取り、詐欺などのトラブルに対する不安が残る。
  • 補正対応
  • ・・・法務局から補正を求められると手続きが長引いてしまう。
  • 金融機関が求める要件を満たせない
  • ・・・住宅ローンを利用する場合、多くの金融機関が司法書士による手続きを求める。
金融機関が「司法書士に依頼しないなら認めません」と主張する可能性があり、この場合は実質司法書士が必須となります。このように、法律上問題がなくても金融機関など取引の相手方が安全のため司法書士への依頼を要件としているケースがあります。

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