遺言書の種類について!自筆証書遺言と公正証書遺言の選び方など/湘南なぎさ合同事務所

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遺言書の種類について!自筆証書遺言と公正証書遺言の選び方など

遺言の書き方はいくつかあります。法律で定められたどの方式を選択するかによって得られるメリットも異なりますし、必要な要件も異なっています。自らの意思を遺産相続に反映させるためにも、まずはどのような遺言の作成方法があるのか把握しておきましょう。

遺言書の種類一覧

遺言には、大きく分けて「普通方式遺言」と「特別方式遺言」があります。
そしてほとんどの場合、特別方式遺言を作成することはなく、普通方式遺言として作成することになります。
というのも、特別方式遺言とは死亡の危急があるケースや伝染病による隔離を受けているケース、船舶中にいるケースなどを対象とした遺言だからです。

他方、普通方式遺言であればどんな方でも基本的には自由選択することが可能です。それぞれ要件などは異なってはいますが、好きな方法から作成できます。

遺言の種類を整理すると下表のようになります。

普通方式遺言 ・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言
特別方式遺言 危急時遺言 ・死亡危急者遺言
・船舶遭難者遺言
隔絶地遺言 ・伝染病隔離遺言
・在船者遺言

自筆証書遺言について

自筆証書遺言は普通方式遺言の中でも最も一般的な遺言です。
自筆証書遺言に関する要件は以下の通りです。

  • 全文を自書すること
    ※遺言に添える遺産目録に関しては例外
  • 作成の日付を記載すること
    ※具体的な日付が特定できれば認められる
  • 氏名の自書と押印
    ※認印でも可能

他の種類と違って証人や立会人が必要ないため、利用がしやすいと言えます。ただし遺言者死亡後に「検認」は必要です。検認は、遺言の効力を判定するものではなく、明らかに無効な遺言であっても検認の対象となります。検認を経ていない場合、銀行や法務局での手続が進められないといった支障が出るため注意しましょう。
なお、「遺言書保管制度」という制度を活用して保管をしてもらう場合には検認は不要です。

公正証書遺言について

公正証書遺言は自分一人ですべて作成を進めていくのではなく、公証人にも作成に関与してもらうタイプです。 以下が要件です。

  • 証人2人以上に立ち会ってもらうこと
  • 遺言者から公証人へ口授すること
  • 公証人による口述の筆記と、遺言者および証人への読み聞かせをすること
  • 遺言者および証人が承認と署名押印をすること
  • 最後に公証人が付記・署名押印すること
公正証書遺言では公証人が作成手続に関与するため、検認手続を別途する必要はありません。 なお、未成年者を証人とすることはできませんし、相続に利害関係を持つ推定相続人や受遺者等も証人にはなれません。

秘密証書遺言について

秘密証書遺言も作成過程で公証人や証人か登場しますが、その内容自体は秘密のままにすることができるタイプです。
以下の要件を満たす必要があります。

  • 遺言者が証書に自筆で署名、押印すること
  • 遺言者が遺言書の封入・封印をすること
  • 公証人1人と証人2人に対し封書の提出をし、「自己が遺言者である旨」「筆者の氏名および住所」の申述をすること
  • 提出日と遺言者の申述について公証人が封紙に記載すること
  • 遺言者、公証人、証人が署名押印すること

提出日の記載は必要ですが、作成した日時の記載は法律上求められていません。なお、検認手続は必要です。
※必ずしも遺言の内容を自書しなくてもよく、第三者にパソコンで作成してもらったものに遺言者が署名・押印して作成が可能なので、遺言者の置かれた状況によってはこの方法を選択した方が良い場合もあります。

どの方法で遺言を作成するべきか

様々な種類が存在していることが分かったかと思います。
次に、どの作成方法を選択するのか、着眼点について紹介していきます。

なお、特別方式についてはそのときの状況に応じて選べるタイプが決まっていますので、ここでは省略します。

また、秘密証書遺言に関しても無効になる危険性が比較的高く、保管上の危険性も高いです。そこで、最も多くの方が悩むであろう「自筆証書遺言と公正証書遺言のどっちが良いのか」という話題に触れていきます。

作成したことを知られたくないなら自筆証書遺言

遺言書を作成したことにつき、家族や親族、関係者に知られたくないというニーズもあります。
このような場合、一人で作成が可能な自筆証書遺言の方が適しています。秘密にするという観点から言えば秘密証書遺言も適していると言えますが、自筆証書遺言の場合近年設けられた遺言書保管制度が利用できるため、秘密を保ちつつ保管に関するデメリットを打ち消すことが可能です。
また、同制度によって方式不備のリスクをなくすことができます。費用がかかってしまうというデメリットはありますが、同制度の登場により格段に利用しやすくなっています。

ただ、自書できない場合にはこの方法を選択することはできませんし、保管制度により保管官がチェックしてくれるのは方式不備のみであって、内容の精査まではしてくれません。

相続後に揉める可能性があるなら公正証書遺言

秘密にするには適していませんが、将来的な相続人間のトラブルをできるだけ避けたいのであれば公正証書遺言が適しています。中立な立場である公証人のもとで作成することになり、高い信用性も持たせられます。
自書できない場合はもちろん、寝たきりや視聴覚障害があるといった外出ができないケースでも、出張制度があるため柔軟に対応してもらえます。

ただし、費用が比較的高くなってしまいますし、証人の立会いも求められるなど、自筆証書遺言ほど気軽には作成しにくいという難点も持っています。

このように、遺言の作成方法に応じてそれぞれメリット・デメリットがあります。ご自身の状況に応じて適切な方法を選択することが大事です。どの方法を選ぶべきかお悩みであれば、一度専門家に相談してみると良いでしょう。

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