不動産を取得した後に必要な手続きとして「所有権移転登記」があります。実務上重要な処理であり、不備なく対処しなくてはなりません。
不動産を取得した原因・背景によって必要書類が異なりますので、売買・贈与・相続の3つの場面でそれぞれ何が必要になるのかも確認しておきましょう。
名義変更のために所有権移転登記を行う
不動産の権利関係は法務局が管理する「登記簿」に記録されています。土地や建物が誰のものかを公的に示す仕組みであり、売買・贈与・相続などによって所有者が変わった場合は、登記簿上の所有者を新しく書き換えることで名義変更が行われます。
この手続きが「所有権移転登記」です。
なお、登記は基本的に任意で行うものです。しかし、売買で不動産を取得しても登記をしなければ第三者に対して「自分が所有者だ」と主張することが難しくなるなど、実務上の必要性が高く実質的には必須と捉えておくべきでしょう。
※相続したときの登記は法的な義務であり、正当な理由なく期限内に申請しないと過料の対象となってしまう。
申請窓口や基本的な流れについて
申請先は、対象となる不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)です。居住地の最寄りではなく、不動産の所在地で管轄が決まることを知っておくと良いでしょう。
そして申請の方法は大きく分けて、窓口への書面申請・郵送申請・オンライン申請の3種類です。いずれの方法でも申請後には法務局の審査が行われ、通常1〜2週間程度で登記が完了します。
こうして申請が完了すると「登記識別情報通知」が発行されます。これは12桁の英数字で構成されたパスワードのような書類で、次に登記申請をする際にも必要になる重要な書類です。再発行はできないため、受け取ったら大切に保管しておきましょう。
名義人が変わる理由別で必要な書類
どの場合でも共通して「登記申請書」の作成と「登録免許税」の納付が必要ですが、購入したのか(売買)、無償で譲り受けたのか(贈与)、遺産として承継したのか(相続)、によってその他準備すべき添付書類は変わってきます。
不動産売買のケース
売買の場合は売主と買主、双方の書類が必要です。売主側は「登記済証または登記識別情報通知(いわゆる権利証)」「印鑑登録証明書(発行から3ヶ月以内)」を、買主側は「住民票」を用意します。
またいずれの立場であっても、登録免許税を算定するために「固定資産評価証明書」が必要となるほか、「登記原因証明情報(売買があった事実を証明する書類)」が必要になります。手続きのためにも売買契約書は必ず作成するとともに大切に保管しておきましょう。
不動産贈与のケース
贈与で受け取るとき、基本的な必要書類は売買と重なります。権利証や印鑑登録証明書(贈与する側)、住民票(受け取る側)、固定資産評価証明書などを準備しましょう。
これらに加え、登記原因証明情報として「贈与契約書」などを用意します。
不動産相続のケース
相続の場合、書類の準備がほかの登記原因と比べても多くなる傾向にあります。
被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までつながる戸籍謄本や除籍謄本、相続人全員の戸籍謄本に加え、不動産を取得する相続人などの住民票が基本として必要です。
そして遺産分割協議で不動産の取得者を決めたのであれば、相続人全員の実印が押された遺産分割協議書と各自の印鑑登録証明書も準備物に加わります。
遺言に従い取得したのであれば、公正証書遺言の謄本や、家庭裁判所で検認を受けた自筆証書遺言などを用意しましょう。
なお相続の場合、売買や贈与とは異なり権利証の提出は原則として不要です。また、戸籍の広域交付制度が始まったことで遠方に本籍がある場合でも最寄りの市区町村窓口で戸籍を取得できるようになったため、以前よりは書類収集の負担が軽減されています。
自分で申請するか専門家に依頼するか
所有権移転登記は、ご自身で書類を揃えて申請することも原則として可能です。
ただし、申請書の作成には不動産登記に対する知識が必要ですし、書類に不備があると法務局から補正を求められ完了が遅れることもあります。また売買の場合は、決済日当日に登記申請を行う形で手続きを進めることが多く、スケジュール管理も含めて対応するのは初めての方にとってハードルが高いと思われます。
この点、司法書士に依頼すると書類の作成・収集から申請までを一括して代理してもらうことができます。
※報酬は案件の内容・物件数・地域によって異なる。
権利証がないケースや多くの準備や対応が求められる不動産相続のケース、ローンの抹消と同時に行うケースなど、手続きが複雑になる場面で無理に対応することはおすすめできません。疑問点や不安が少しでもあるならぜひ専門家も有効活用していきましょう。

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