日本には多くの空き家が存在しており、しかもその件数は年々増加しています。空き家の存在は種々の問題・弊害を引き起こすためできるだけ発生を防ぐ必要があるのですが、ここで司法書士が役に立ちます。
「空き家問題とは無関係」と思っていた方でも相続をきっかけにこの問題に直面することがありますし、当記事を参考に、相続開始後の司法書士の活用をご検討いただければと思います。
空き家の増加が社会問題に
管理がなされていない空き家は周囲の安全性を脅かす存在であるとともに、公衆衛生の悪化から景観の悪化など、多岐にわたる問題を引き起こします。
〈 空き家の問題点 〉
- 倒壊や放火による延焼のリスクが高い
- 犯罪に用いられる可能性がある
- 危険物やゴミなどを不法投棄される可能性がある
- 不法投棄等により周辺に悪臭を放つ可能性がある
- 塀への落書きや落ち葉の飛散などによる景観の悪化
所有者が判明することで、所有者は上記の各種問題から生じる損害への賠償責任を負うこととなります。固定資産税もかかり続けますし、解体するにも費用がかかるためいずれにしろコストの問題に直面してしまいます。
また、長年放置され続けてきた不動産は名義が大昔のままになっていることもあり、相続をするのも難しくなってしまいます。
空き家問題の現状
確認されている空き家の件数は2023年10月時点で約900万戸。日本の総住宅6502 万戸に対する空き家率は 13.8%で上昇傾向にあり、問題は年々深刻になっています。
そこで各自治体が独自に条例を制定して空き家問題への取り組みを始めていますし、法律(空家等対策の推進に関する特別措置法)も制定されていかに空き家を減らしていくか、について議論が進められています。
そして現状、空き家対策に関する計画は1,450市区町村(日本全国の83%)で策定されていますし、法定協議会も992市区町村(日本全国の57%)で設置されています。また、同法が制定されたことで除却・修繕等がなされた空き家等は2万件超。その他の取り組みによる除却・修繕等がなされた管理不全の空き家は14万件を超えています。
政府も本格的に空き家問題を解決するための取り組みを進めており、その一環で、2024年4月から相続登記も法律上の義務とされました。登記を義務とすることで所有者不明の土地等をなくし、空き家の発生を抑制しようとしているのです。
司法書士ができる支援の内容
司法書士は法律・登記のプロで、空き家問題にも対処できる専門家です。
具体的には「空き家の実態調査」や「登記申請の代行」「空き家などの財産に対する管理方法のアドバイス」「空き家・跡地の利活用に関するサポート」などが司法書士にできます。
空き家の実態調査
空き家問題に対処するにはまず空き家の実態を調査する必要があります。名義人は誰か、物件はどのような状態にあるのか、司法書士が必要な情報を集めるための調査を代わりに行います。
また空き家の相続がある場合は相続人の特定もしないといけません。そのための戸籍調査も、司法書士に任せると安心です。
登記申請の代行
空き家も不動産ですので、所有権の登記が必要です。
特に空き家の存在が相続をきっかけに明らかとなった場合、登記申請が法律上の義務となりますので注意してください。相続登記の義務は空き家に限って課されるわけではありませんが、空き家など所有者がわからない不動産の発生を抑制する目的で近年設けられた新たなルールです。
改正法の施行は2024年4月1日からですが、それ以前に相続で取得した空き家などの不動産についても適用対象です。3年以内に登記を行わなければペナルティを課されることもありますので、確実に義務を果たすためにも司法書士に依頼を出しておくことが望ましいです。
司法書士は法律に詳しく、さまざまな法制度の相談にのることができます。中でも登記のプロですので、登記申請について何かわからないことがあるという方は司法書士に相談することをおすすめします。
財産管理のアドバイス
不動産を所有している方が高齢者であって、判断能力に不安がある場合、成年後見制度の利用を考えます。
すでに認知症などによって判断能力に支障をきたしているのであれば「法定後見制度」と呼ばれる制度を活用し、家庭裁判所で後見人等を付けてもらいましょう。一方、今現在の判断能力に問題はないものの将来的な不安があるという場合、「任意後見制度」を活用し、契約により後見人を選ぶと良いです。
この成年後見制度に関しても司法書士ならアドバイスできます。制度で解決できることとは何か、どうやって手続を進めるのか、どんなメリット・デメリットがあるのか、疑問点を一つひとつ解消していくことができます。
その他、所有者が行方不明になっている場合や相続人がいない場合の管理についても、「相続財産清算人の選任」や「不在者財産管理人の選任」に向けて司法書士がサポートできます。
空き家・跡地の利活用
まったく使っていない建物や土地をそのまま放置するのではなく、処分や利活用などの道も探ると良いかもしれません。このときの売買契約や賃貸借契約、その他契約行為に関しても司法書士がアドバイスできます。
契約に関する相談、契約書の作成代行、その後の登記申請の代行など、司法書士なら対処可能です。一度ご相談ください。
湘南なぎさ合同事務所(茅ヶ崎市、藤沢市、平塚市、鎌倉市)|空き家問題を解決するために司法書士ができるサポートとは